【ネタバレなし感想】「西の魔女が死んだ」梨木 香歩|子どもに読ませたい不朽の名作!人生に疲れた人にも優しくてちょっぴりビターな魔法を

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📘タイトル:「西の魔女が死んだ」
🖋 著者:梨木 香歩(新潮社)
📅 発行年:2001年8月1日
📚 ジャンル:ヒューマン

オススメ度(MAX5)

★★★★★

  • 子どもに読ませたい!!おすすめは小学生
  • 人生において大切なこと、「死」に関すること等が、小学生にも伝わりやすい文章で書かれている
  • 多くの人の心に残る名言が有名。優しい気持ちになれたり、自己肯定感を高められる
  • 意外にも、ちょっぴりビター
  • 人生に疲れ気味の人にもオススメ

あらすじ

二度と再び、まいの世界が元に戻ることはなかった。

学校に足が向かなくなった少女が、大好きな祖母から受けた魔女の手ほどき。何事も自分で決めるのが、魔女修行の肝心かなめで……。

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。

(Amazon商品紹介ページより引用)

感想

名作と名高い本書は前評判通り、あたたかい気持ちに包まれる良作だった。

イメージと異なり驚いたのだが、それだけじゃなく、誰しもにきっと抱えているほんの少しビターな後悔が秘められていて、それが一層本作の魅力を高めていると感じる。

お話としては、学校での人間関係に悩む少女が、田舎の祖母の家にショートステイするというもの。

「魔女」と自称する祖母は、ジャムを作ったり、鶏を飼って採れたての卵で朝ごはんを作ったり、日々を丁寧に暮らしている。困ったらすぐにUberしては貪り食うばかりの私には眩しく、日常を大切に生きたいと思わされる。

「早寝早起き」が魔女修行の初歩として紹介されるが、この時点で素質がないと絶望させられる。笑

しかし心配ご無用。

西の魔女は、どんな人でも毎日毎日コツコツ続いて意志の力を育てることができると言ってくれているのだから。諦めなければ道は拓く。

作中では色々な草花の名前やちょっとした豆知識がでてくる。

私も道端の草花の名前を教えたり、「バラの近くにニンニクを植えると虫も来ず香りもよくなる」みたいな生活の知恵を蓄えて、次世代に繋いで行きたいと思った。

私も死ぬ時はあんな風にチャーミングに死にたい。

心に残った言葉

「サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きる方を選んだからといって、だれがシロクマを責めますか。」

学校で友達とうまくやれずに不登校になった主人公に対し、おばあちゃんが言うことば。

「戦え」という結論になる話も多い中で、あまりにも優しく胸を打つ。

それは「逃げ」ではなく、ここが自分の居場所ではないと「選択」しているのだと。

「魔女は自分の直観を大事にしなければなりません。でも、その直観に取りつかれてはなりません。そうなると、それはもう、激しい思い込み、妄想となって、その人自身を支配してしまうのです。」

耳が痛い話。誰もがそれぞれの直観に支配されている。大切なのは直観を覚えた時に、一度立ち止まって客観的に考え直すこと。難しいけれど。

「悪魔を防ぐためにも、魔女になるためにも、いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です。」

何事においても通じる名言。特に子どもの頃からこのことを知り、何かに取り組み続けること。

これがこの先の世の中でも必要になる力だと思う。ショート動画を受動的に垂れ流すのではなく、能動的に自分で決めたことをやり遂げようとする経験。それが絶対に必要である。最近は非認知能力とも言われる力。

「人はみんな幸せになれるようにできているんですよ」

不登校、大切な人の死等、主人公がするビターな経験を通しながらも、この物語はやはりこれが伝えたいのだと思う。

辛いこともあるけれど、幸せになれるようにできていると信じて、意志の力をもってやり遂げること。自分の居場所は、自分が決めていいということ。

とても素敵なお話なので、ぜひ手にとって読んでみてください。

映像化もされています。

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